2013年10月26日

ここ数日、いじめ防止対策推進法施行に伴い、NHKなどで子ども達のいじめに関する特集が放送されていますね。9月に行われた全国生徒会サミットでは、「いじめ」をテーマに中学生が話し合いました。いじめの構造や、「傍観者」にならないためにどうしたらいいのかなど、ピースフルスクールプログラムで教えていることを、中学生に伝えることができました。

今回は、ピースフルスクールのいじめ防止につながる取り組みをご紹介いたします。

♡ピースフルスクールのいじめ対策♡
ピースフルスクールは、いじめのないコミュニティを創ることのできる子どもを育てます。
教師や保護者が監視、抑圧することでいじめを防止するのではなく、子ども達が主体的に自らのコミュニティを運営する中で、いじめのない学校を創る力を習得します。

ピースフルスクールでは、幼稚園や小学校低学年の頃から、嫌なことをされたら、自ら「やめてほしい」と相手に伝える練習を繰り返し行います。
また、プログラムを通して共感力を高めるため、相手の気持ちを汲むことができるようになります。最初はふざけて遊んでいても、誰かが嫌な気持ちになったらその遊びを止めることができるようになります。

また、ケンカや対立が起きると、子ども達はその問題を自ら解決するために活動します。
対立の当事者は、自分の意見や考えを落ち着いて主張し、オープンに話し合うことで問題を解決することができます。
いじめられている子は、すぐに先生に助けを求めるのではなく、いじめている人に「やめてほしい」と自ら伝える必要があることを知っています。
先生や保護者も、対立やケンカに直接介入するのではなく、子ども達だけで問題を解決するように、少し遠くから様子を見守ります。

それでは、子ども達だけで、どのようにケンカや対立を解決するのでしょうか。
まず、子ども達は、3色の帽子をモデルにして、対立が起きた時のコミュニケーションの取り方を学びます。

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●赤い帽子は、自分の意見を強く押し通すスタイル(攻撃する)

●青い帽子は、自分の意見を言わずに、相手に合わせるスタイル(譲歩する)

●黄色い帽子は、お互いに意見を述べ、話し合いで合意するスタイル(話し合う)
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子ども達は、それぞれのメリット・デメリットを理解します。
赤い帽子で対応すると、自分の意見は通るかもしれませんが、ケンカになってしまいます。
青い帽子で対応すると、ケンカにはなりませんが、自分の意見は通りません。
黄色い帽子で対応すると、時間はかかってしまいますが、お互い納得して物事を決めることが出来ます。

子ども達は、黄色い帽子で対立を解決するのがベストであることを小さい頃から学びます。対立して怒ってしまっても、黄色い帽子で対応する必要性を思い出し、冷静になるように気持ちを切り替えることができるようになります。
このような力を身につけている子ども達だからこそ、いじめのない学校を創ることができるのです。

ピースフルスクールの小学校5、6年生が、小学校全体のケンカの仲裁を先生に代わって行うことができるのも、子ども達一人ひとりが対立を話し合いで解決することの大切さを認識し、そのために必要なスキルを習得しているからです。
ピースフルスクールのウェブサイトで、子ども達の仲裁の動画を公開しているので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

また、子ども達はいじめがどのような構造で成り立っているのか、システムで捉えて学びます。その中で、被害者と加害者のみならず、「傍観者」がいじめの構造を支える上で重要な役割を持つことを認識します。そして、いじめの傍観者にならない心を育みます。
学校に関わる人全員で、ピースフルスクールを通して、子ども達が安心して存在できるコミュニティを創りあげていきます。
いじめに怯える精神的負担が軽減すると、勉強や課外活動により積極的に取り組むことができるので、子ども達の成長を促すことにも繋がると考えます。