学習目標
学習目標
ピースフルスクールプログラムの学習目標は、大きく5つあります。
1. 建設的に議論して意思決定をする
- 意見をもつ
- 根拠を持って議論する
- 誰か他の人の立場に立ってみる
- 妥協する
- 同意しない人を尊重する
2. コンフリクト(対立)を自分で解決する
- ウィン・ウィン解決
- 交渉する
- 調停する
- 見方を変える
- コンフリクトが起きた時の怒りを処理する
3. 社会の一員としての責任感を持つ
- お互いに責任を持ちあう
- 思いやりのある態度をとる
- 助け合う
- イニシアチブを取る
- 参加する
- 一緒に行動する
4. 他者を思いやり、多様性を尊重する
- 寛容であること
- 言論の自由
- 他の文化や宗教などを尊重する
5. 社会における自分の役割を知る
- 民主的社会の諸原則
- 選挙
- 代表制
- 民主的制度
ベースとなる4つの力
5つの学習目標のベースとなる4つの力も、プログラムを通して身につけることができます。
- 自尊心
- 自制心
- 共感力
- リフレクション(内省)力
プログラム開発の経緯と今
プログラム開発の経緯と今
1990年頃のオランダでは、いじめや生徒の問題行動が増加していました。
この問題を国全体で解決するために、学校風土や教室の雰囲気を改善することを目標としたシチズンシップ教育プログラムの開発が計画されました。
1999年、オランダのユトレヒト市が、ユトレヒト大学のミシャ・デ・ウィンター教授の協力のもと、独自の教育プログラム「ピースフルスクールプログラム」を開発しました。
現在、ピースフルスクールプログラムは、オランダ全土の約600校に導入されています。
また、学校だけにとどまらず、地域社会におけるコミュニティ教育としても広がり、ピースフルコミュニティが生まれています。
プログラムの特徴
プログラムの特徴
子ども達にとって
1. 自己肯定感が高まる
このように、子ども達は自身の存在価値や意義を日々感じることができるため、自己肯定感が高まります。
2. 仲間外れやいじめが減るため、学習に集中できる
3. コミュニケーション力が向上する
また、建設的な議論をして意思決定をすることができるコミュニケーション力を身につけます。
4. 主体的な問題解決力が身につく
問題解決や仲裁のステッププランを反復して練習することで、スキルとして身につくのです。
また、問題が起きた時の感情を自分でコントロールすることもできるようになります。
教師にとって
1. チーム力が高まる
2. コミュニケーション力が向上する
3. 問題解決力が高まる
学校にとって
1. 学校の理念が浸透する
2. 学校の安全性が強化される。
そのため、保護者や地域からの学校に対する信頼が強まります。
3. 保護者や地域社会とより良い関係を築くことができる
プログラムの効果
プログラムの効果
子ども達、先生、保護者が一緒に取り組むことで、プログラムの効果は最大化します。
プログラムの効果は、大きく2つに分類できます。
1つ目は、子ども達の心の成長です。
現在、オランダ全国で600校以上の学校がピースフルスクールプログラムを採用していますが、2年間プログラムを実施した全ての学校で、学校文化や安全面で明らかな進歩と変化が見られたと報告されています。子ども達は、安心できるクラスや学校といったコミュニティの中で、積極的で思いやりのある市民として、先生や他の子どもに対して独立心と責任感を持ち、積極的に活動に参加し、自らの道を選択することができるようになります。
また、ピースフルスクールプログラムは、いじめの防止や解決にも効果があります。子ども達は、ピースフルスクールプログラムのレッスンを通して、いじめをエスカレートさせるのではなく、解決してそこから学ぶことができるようになります。
2つ目は、学習意欲や学力の向上です。
子ども達は、対立や批判、いじめを恐れることなく学習できるので、教科の勉強や課外活動に力を注ぐことができます。
そのため、ピースフルスクールプログラム導入校では、心の成長だけでなく、学力面も向上しているという報告も受けています。